寺川左岸の阿部丘陵西辺に築造された方墳である。現在は墳丘上に八幡神社が鎮座し、社殿造営に伴い墳丘はやや削平されている。これまでに発掘調査は実施されていないが、規模は東西約35m,南北約38m,高さ約8.2mを測る。主体部の埋葬施設は両袖式(または片袖式)の横穴式石室で、南方向に開口する。石室は花崗岩の巨石を使用した極めて規模の大きいもので、石室全長は13.8m、玄室は長さ約6m,幅約2.8m,高さ約4m、羨道は長さ約7.8m,幅1.7m,高さ1.8mを測る。石室内には礫敷が認められる。出土品として凝灰岩の細片があることから、石棺の使用が推測される。
　築造は古墳時代終末期の7世紀初頭～前半(または後期～終末期の6世紀末葉～7世紀初頭)頃と推定される。阿部丘陵では巨石墳として本古墳のほかにも艸墓古墳,文殊院西古墳などがあり、古代氏族の阿倍氏との関係性が指摘されている。