滝山寺

たきさんじ (Takisan-ji Temple)

【T-AC016】探訪日:2013/8/31・2020/3/6

【T-AC016】滝山寺 愛知県岡崎市滝町字山籠107 <📲0564-46-2296:>

【MAP】

〔駐車場所〕

   『滝山寺縁起』によれば、686(朱鳥元)年に役小角が青木川の滝壺から薬師如来を拾い上げ、安置するために吉祥寺という一堂を建てたのに始まるとされる。しかし、その後、寺は放棄され荒寺となる。
 保安年間(1120~23年)になると、天台宗の仏泉上人永救が地元の豪族物部氏の保護を受けて本堂を建てるなどして再興。上人を慕って弟子入りする者は後を絶たず、境内には360もの寺院が建立され、そのころに寺名を滝山寺と改めている。
 その後、物部氏に代わり熱田神宮大宮司藤原南家を檀越に迎えることで寺勢はさらに興隆し、平安時代末期から鎌倉時代初期には熱田大宮司藤原季範の孫で源頼朝の従兄弟にあたる寛伝上人は瀧山寺住職となり、頼朝により大伽藍が造立されるなど鎌倉幕府の庇護を受けた。寛伝は足利氏宗家初代当主足利義康の義兄弟でもあり、頼朝の強い推挙によって足利氏本拠地である下野の日光山満願寺座主を一時務めたものの、衆徒との関係が悪化し2ヶ月で三河へ戻っている。寺に伝わる聖観音菩薩及び両脇侍(梵天,帝釈天)像は、頼朝の三回忌にあたる1201(正治3)年に寛伝が頼朝追善のため仏師運慶,湛慶父子に作らせたものという。像内に頼朝の鬚と歯が納入されている。その後も三河守護足利氏の保護を受け、1223(貞応2)年には足利家3代目当主足利義氏が本堂立替を援助した。さらに、南北朝時代には足利尊氏の庇護を受け現在の本堂が造営されたが、臨済宗を重視する室町幕府の方針の影響などによりやがて滝山寺の勢力は衰え、戦国時代に寺領は諸勢力に侵された。
 江戸時代になると徳川家康の庇護を受け再び復興。徳川家光の治世には天海の弟子の亮盛が寛永寺の子院であった青龍院住職と兼務する形で滝山寺住職を務め、以降滝山寺の勢力が増した。1646(正保3)年、徳川家光の命により岡崎城鬼門にあたる滝山寺境内に滝山東照宮が創建された。

 

【史跡規模】

【指 定】
【国 宝】
【国重文】・本堂(14世紀後半頃の建立)
    ・三門(鎌倉末期~室町時代前期の建立)
    ・木造観音菩薩立像及び梵天,帝釈天立像

関連時代 飛鳥時代 平安時代(後期) 鎌倉時代 江戸時代:前期
関連年号 686年 1120~23年 1223年 1646年
関連人物 系図 関連人物 系図 関連人物 系図
役小角 **** 永救 **** 寛伝 F062
源 頼朝 G202 運慶 G712 湛慶 G712
足利義氏 G331 足利尊氏 G332 徳川家康 TG01
徳川家光 TG03 亮盛 ****

 

【T-AC016】滝山寺  
 宝物殿を訪れた際、入館者が私一人となったこともあり住職の方が古文書をベースに細かくかつ分かりやすく説明してくださった。観音菩薩像は頼朝の身長160cmに合わせてあること、江戸時代に色を塗ってしまったために国宝にならなかったことなど。最後に木造十一面観音菩薩立像(大小あるが小の方)についても熱く語ってくれた。こちらもX線撮影調査の結果、脚部胎内に巻物のような納入品が見つかっており、作風からも快慶作の可能性が高いとのこと。一見すると表情がきついが、光の当て方を変えると快慶特有の柔和な顔付になる。また、身につけた装飾の金具細工の細かいこと、現代で言えば精密プレスで打ち抜いたような美しさに感銘した。十一面観音菩薩立像は彩色されていないため、快慶作ならば国宝かもしれない。

 

【T-AC016】滝山寺

 

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▲三門正面

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▲飛騨権守藤原光延塚

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▲藤原経朝の書による扁額

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▲木造仁王像(吽形)

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▲木造仁王像(阿形)

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▲三門右側

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▲三門左側

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▲三門背面

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▲本堂

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▲本堂

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▲本堂

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▲前右:不動明王座像・前左:月光菩薩・後方:十二神将立像

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▲前右:日航菩薩・前左:毘沙門天立像・後方:十二神将立像

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▲釣鐘堂(徳川綱吉寄進)

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▲鬼塚

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▲本坊

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▲本坊