築城年は定かではないが、永正年間(1504～21年)に塙右近によって現在の福昌寺一帯に築かれたとされる。2代塙九郎左衛門重友は信長に仕え､1575(天正3)年以降、信長から九州の名族･原田氏の姓を賜り、原田備中守直政と改めている。永禄年間(1558～70)には丹羽長秀と共に鉄砲調達の奉行を務め、1576(天正4)年の石山本願寺攻めにも参加し天王寺砦を守備していたが、本願寺側の総攻撃を受けて混乱のなか討死した。この戦いで塙小七郎(直政弟?),塙安弘(直政叔父?)も討死している。直政が亡くなった後の塙氏は信長からも冷遇され、この地から離れている。
　その後、直政の嫡子･安友は佐々成政,豊臣秀吉,田中吉政に仕え、江戸時代になると塙宗悦と名乗って将軍家に仕えるほどの名医になった。
　また、1615(元和1)年の大坂の陣で名を馳せた豊臣方の武将･塙団右衛門直之もこの一族といわれ、福昌寺の墓地に福昌寺開祖･塙宗悦,塙団右衛門生母の墓と並んで供養されている。
　かつては境内東に土塁,堀が残されていたという。